2013年9月11日水曜日

他人のお金と総有財産(2)

管理組合と自治会は違いますよ
組合員の、組合員による、管理組合運営

「総有」とは、所有権の一種で、ブラック管理組合のように権利能力なき社団の財産の帰属、
その処分について前回お話ししましたが、さらに話を進めてみます。
団地の区分所有権の売買について考えてみますと「専有部分」のみが売買の対象となり、
登記所で所有権登記がなされ成立します。
「建物の区分所有等に関する法律(以下「法」)といいます。」
で土地は敷地利用権とされ分離処分は出来ず、共用部分は利用権として売買に伴います。
何故かというと、団地は「共同住宅、昔風にいう長屋」ですから、
土地又は共用部分を個人が勝手に処分すると、団地が成立しなくなるのです。
分離処分を不可とするのは団地の秩序の維持で「法」で一番大事な規定です。
団地管理組合を団地建物所有者全員で構成すると言う意味はここにあります。
当然、管理組合として団地を管理するには費用がかかりますので
管理費等の組合員負担を決め、その持ち分に応じて取り決め、月々支払うのです。
組合員全員で負担した管理費等の金銭(財産)は、誰のものか、
財産の帰属は誰のものか、その概念が総有財産の帰属問題なのです。
もちろん、管理費等も組合員の総有財産です。
処分つまり使い方は、組合員の最高意思決定機関である総会で決議し、
その指示によりブラック管理組合では理事会が事務処理を行います。
理事に、あるのは組合員から委任契約によって受任した事務処理だけで、
総有財産の処分権がないとはこの意味です。
処分権がないものを処分するつまり勝手に使う事は、
前回お話ししました他人のお金を使う犯罪、明らかに背任行為なのです。

一般に、総有という文言がどう理解されているか、文献を以下にご紹介いたします。

1 総有 世界大百科事典 第2版の解説より引用です。
 「共同所有の一種で,多数の者によって構成される共同体(注:1)
の土地その他の財産を,共同体とその構成員(注:2)が連帯して支配する形態をいう。
すなわち,財産の管理・処分の権能は,共同体に属し,
使用・収益の権能は,構成員に帰属している。
構成員の団体的結合関係が強く,構成員は,構成員としての資格を備えることによって,
この権能を取得し,資格をなくすことによって,権能を喪失(注:3)する。
共同体としての管理・処分の方法,構成員としての使用・収益の態様,
構成員の資格の得喪などは,いずれも共同体の内部規範(注:4)によって決められる。」
注:1 構成される共同体を権利能力なき社団→管理組合 と読み替えて下さい。
注:2 組合員 と読み替えて下さい。
注:3 団地建物所有権の取得で組合員になり、またはなくなったとき組合員でなくなる。
と読み替えて下さい。
注:4 「法」又は規約 と読み替えて下さい。

2 総有 関西大学 栗田隆教授 豆辞典 より引用です。
詳しくは、以下にアクセスご覧ください。
http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/_encyclopedia/souyuu.html
「財産を複数の人が共同して所有することを共同所有といい、総有は、その1つの
形態である(他に、共有、合有がある)。
総有の対象となる財産は、次の特質を有する総有団体が管理・処分する。
構成員の変化があっても団体は同一性を保つ点では、法人と同じ。
法人格は認められないので、総有団体は、現実の構成員の全体である。
したがって、総有財産は総有団体に帰属するといっても、
その構成員全員に帰属するといっても、同じことである。各構成員は、
総有財産について使用・収益権を有する。総有財産に関するこれらの権利は、
団体の構成員の地位と結びついていて、構成員でなくなることによりこれらの権利も失う。
民法は、私有財産は個人が管理するのが経済活動の便宜にかなうとの立場から、
総有関係について積極的に規定することはしなかったが、
江戸時代からの慣習を尊重して入会権(民法263条)を認めており、
これが総有関係にあたると理解されている。」

3 総有も民法の財産帰属の概念です。
文言のみで理解せず、基礎的なものを理解しながら「総有」の概念の知識を身
につける事をお勧めします。
愚痴爺さんは学者ではありません。管理組合と自治会の峻別に少しでもお役にた
てばという思いだけで総有概念をご紹介しています。

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